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【開発秘話 Episode1】「ひかり」が暮らしを変えるアイテムになるまで「ひかりノベーション」誕生の舞台裏
夜の庭や玄関先で、ふと立ち止まって見上げてしまうような光に出会ったことはありますか。シンボルツリーを主役に見せる光、足元にやさしく落ちる光——そんな光がそこにあるだけで、家に帰り着いたときの気持ちが、少し変わる気がしませんか?「ひかりノベーション」は、そういう瞬間をつくるために生まれたアイテムです。気づけばシリーズの商品展開も増え、日本各地の庭や街角で灯り続けています。どんな想いがこの光を生んだのか。企画・開発に関わったメンバーの言葉を手がかりに、その舞台裏を一緒にのぞいてみましょう。
1.「光を、もっと身近なものにしたかった」

今では、庭やアプローチを彩る身近なアイテムとして親しまれている「ひかりノベーション」。その始まりをたどると、ひとつのシンプルな問いに行き着きます。
「プロが使っているようなライティングを、もっと身近なものにできないか。」




「ライティングマイスター」によるプロのエクステリア市場のライトアップ
ひかりノベーションの構想が始まったのは、2016年ごろ。2010年からスタートした庭照明のプロフェッショナルを育成するプログラム「ライティングマイスター」によって、少しずつプロのエクステリア(外構)市場での照明提案が定着し始めた頃のことです。プロの市場では「光で空間を演出する」という考え方が広がり始めていましたが、一方で、すでに建っている住宅も含めた全体の市場を見てみると、演出の照明が取り入れられている住宅はまだ限られていました。
「新しく建てられる住宅では庭を美しく演出する照明が少しずつスタンダードになってきている。
でも、それ以前につくられた住宅には、まだ最低限の光しかないところがたくさんある。」
そんな市場の姿を見たとき、プロ向けに培ってきたライティングの考え方を、もっと多くの人に届けられないかという発想が生まれ目を向けたのが、ホームセンターやEコマースで販売しているエンドユーザー向けの商品でした。
当時、ホームセンターなどで販売されていたお庭用のガーデンライトといえば、ソーラー式のものが中心。手軽ではあるものの、明るさやデザイン、そして「どう使えば空間が素敵になるのか」という提案まで含めると、プロがつくるライティングとはまだ距離がありました。だからこそ目指したのが、「プロのようなライティングを、プロでなくてもできるようにすること」。照明そのものを届けるだけではなく、光の使い方まで一緒に届ける。
それが、ひかりノベーションの出発点でした。


屋外の光が少ない住宅のイメージ
2.「何を照らす?」から考えた3つの「ひかり」
・まずは現場を知ることから

実際に行ったフィールドワーク
ひかりノベーションを形にしていく中で、まず考えたのは「どんな照明をつくるか」でした。そのために行ったのが、実際の住宅やファサードのフィールドワーク(現地調査)。さまざまな事例を見ながら、
「この場所には、こんな光があったらいいな」
「ここを照らすと、もっと素敵になりそう」
と、光の当て方をパターンに分けていきました。そこで見えてきたのが、3つの光です。樹木や植栽を下から照らす「木のひかり」。足元をふわりと照らす「地のひかり」。そして、壁面をやわらかく照らす「壁のひかり」。狙った場所を照らす光、足元に広がる光、壁面に広がる光――それぞれ異なる役割を持ちながら、組み合わせることで、ひとつの空間をつくる。この3つを「ひかりノベーション」の最初のラインアップとして形にしていきました。
中でも「壁のひかり」は、企画の段階から特に注目していたアイテムでした。樹木を照らすことや、足元を照らすことに比べて、「壁を照らす」という方法は、ユーザー自身ではなかなか思いつきにくい。けれど、壁面を照らすだけで空間の印象は大きく変わります。プロが使っている光のテクニックを、こうした分かりやすい形で伝えたい。そんな思いも、3つのアイテムには込められていました。



照らし方を考えていた時の実際のスケッチ
・3つの「ひかり」を、ひとつのシリーズにするために



最初に作られた3つの光
もちろん、3種類の照明をつくれば、それで完成というわけではありません。「プロのような光」を届けながら、ホームセンターなど手軽に買えることが重要視される市場で手に取ってもらえる価格にする。その両立には、商品開発側の工夫が必要でした。そこで考えたのが、できるだけ部品を共通化すること。3つの照明は、カバーを外してみると、実は共通する部分が多くあります。カバーを変えることで、それぞれ異なる光をつくる、電球もできるだけ共通化する。そうすることで、3つの異なる光をひとつのシリーズとして成立させました。さらに、コストを抑えるために採用したのが「樹脂」という素材でした。ひかりノベーションは、商品開発・製造をしているタカショーデジテックの商品としては、樹脂を使った初の商品。設計する側にとっても初めてのことが多く、組み合わせ方やつくり方を一つずつ学びながら形にしていったといいます。この商品開発をきっかけに、工場とのつながりや、ものづくりの方法も広がっていきました。ひかりノベーションは、ひとつの商品を生み出しただけではなく、タカショーデジテックのその後のものづくりにもつながる経験を残した商品でもあったのです。

個別に設定されたカバー(下)

細部にこだわった設計

木のひかりと同じ光
・「簡単に使える」を、最後まで


簡単に使えるひかりノベーションのシステム
もうひとつ、商品開発の中で大切にしたのが「分かりやすさ」でした。それまでのソーラーライトなら、地面に挿せば、それだけで使える。一方、ひかりノベーションは電源につなぐローボルトライト(※)です。だからこそ、ユーザーにとって分かりやすいルールにする必要がありました。
・何台までつなげるのか。
・どこまで延長できるのか。
そうした部分までできるだけシンプルに。現在のひかりノベーションにつながる「最大接続8台・最大延長30m」というルールも、誰でも迷わず使えるようにするための工夫のひとつでした。「プロの光」を届けながら、使う人にはできるだけ難しいことを考えさせない。その考え方は、商品の企画や開発の細かな部分にも息づいています。
※ローボルトライトとは:一般的な家庭用電源よりも低い電圧で使う照明のこと。電気工事が不要で、庭やアプローチにも取り入れやすく安全に施工できるのが特長です。
3. つくり手から見た今の「ひかりノベーション」
ひかりノベーションには、発売当初から変わらない5つのこだわりがあります。
1.プロが使っている明るさ
2.工具不要で簡単
3.プロの光のテクニック
4.メンテナンス可能で長寿命
5.すぐに持ち帰って始められるパッケージ
こうして振り返ると、ひかりノベーションは「照明器具」をつくるところから始まったのではなく、光を楽しむ体験そのものをつくろうとしていたことが分かります。では、企画や開発に携わった人たちは、今のひかりノベーションをどのように見ているのでしょうか。
「思い描いていたことを、実際にやってくれているのが嬉しいですね」

企画担当・岩根
「ひかりノベーションを使ってくださっている方のレビューを見ると、やっぱり嬉しくなりますね。
もともとフィールドワークをしたときに、『このお家なら、ここにこんな光があったらいいな』っていうところから考えていったんです。
それが、実際に暮らしている方が同じようにやってくださっている。
『こういうふうに使ってもらえたらいいな』と思っていたことが、本当に形になっているんですよね。
シリーズの種類が増えたことも、ここまで長く続いてきたことも、最初から全部を想像していたわけではありません。
市場の反応があったからこそ、少しずつ広がっていったんだと思います。
自分たちが思い描いていた道筋を、ユーザーの皆さんが実際になぞってくれている。それが、企画した側としてはすごく嬉しいですね。」
「まだまだ、できることはあると思っています」

開発担当・原
「発売までやり切った、という気持ちはもちろんあります。
でも、まだまだ改善できるところはあると思っています。
ライトは自社で設計しているので、これからもできることはある。もっとアップデートしていきたいですね。
特に、品質に対する信頼はこれからも高めていきたいと思っています。
実は今も、品質改善のための実証実験を続けています。売り場にもよく見に行きますし、実際にどう使われているのかを見ることもあります。
最初は住宅の庭で使ってもらうことを思い描いていましたが、最近は非住宅で使っていただくケースも増えてきました。
最初に思っていたところから、少しずつ使われる場所が広がっている。
そういうところも含めて、これからのひかりノベーションが楽しみですね。」
ひかりノベーションは、最初から大きなシリーズになることを目指していたわけではありません。
「プロのような光を、もっと身近に。」
その小さな発想から始まり、使う人が迷わない形を考え、ひとつひとつの光をつくり、そして実際に使ってくれる人の声を受け取りながら、少しずつ育ってきました。今、たくさんの庭に光を届けている「ひかりノベーション」。その一台一台の先には、それぞれの庭があり、それぞれの暮らしがあります。つくり手が思い描いた光を、使う人が自分の場所で楽しんでくれる。そして、その姿を見たつくり手が、また次の光を考えていく。ひかりノベーションがここまで続いてきた理由は、そんな小さな循環の積み重ねなのかもしれません。
これからも、もっと身近に。もっと自由に。暮らしの中で、光を楽しめるように。
ひかりノベーションは、これからも少しずつ、その光を広げていきます。